12月初旬なのだが、面倒なのでまとめてしまおう。
2020年に読んだ本の数は…。
37冊!!
昨年度が47冊だから、10冊落ちましたぁ。原因は明白。早朝バイトのせいである。もはや、本を読んでても眠くて眠くて…。

10年くらい前から読書記録をつけているが、2010年が87冊である。そのころは、結婚しているが子供がいなくて、自由時間が大量にあったのだ。よく本、とりわけ小説を読んでいた記憶がある。

年々落ちているが、まぁ、全然読まないよりもましである。

2020年に読んだ本で、3個自分的にBESTをあげておこう。
あくまで、今年読んだ本なので、2020年の新刊とかではない。中にはもちろんあるが。とりあえず、これしきの読書量だが、3点に絞るのが困難であった。読書の質はいいのではないだろうか。
しかも、「鬼滅の刃」は除外して、である。
では、以下。

3位 「三体」 劉 慈欣 
あちこちの本屋で見かけたこの本。いろいろな著名人が、帯で絶賛している。中国人作家の本など読んだことがないので、興味があったが、どうにも翻訳モノが苦手なので敬遠していた。
しかしながら、世界観がいままで読んだことのないスペクタクルであった。ネタバレであるが、テーマは、「宇宙に人の知能を超える生物がいたら…」、である。いつの時代もこのテーマで紡がれる傑作小説がある。しかし、VRという現代のテクノロジーをうまく使った本作は、間違いなく今の時代の宇宙人コンタクト小説であろう。
ちょっと、長すぎてやや中だるみしたところもあるが、そのユニークさは素晴らしかった。

三体
劉 慈欣
早川書房
2019-07-04


2位 「蜂蜜と遠雷」 恩田陸
これも、読みたいなぁと思いつつピアノ音楽の話だろ?映画にもなったけど、なんかなぁと敬遠していた。しかし、素晴らしい小説であった。
簡単に言えば、世界的なピアニストになるべく、コンクールでしのぎを削る若者たちの物語である。読書中、小説を読むという行為の不思議さを感じた。
読書とは、映像も音楽もなく静かなところ、または生活音がなるところ、また時には騒がしいところで活字を読むだけの行為である。周りからみれば、何を読んでいるかもわからない。しかし、読者の頭の中には素晴らしいピアノが鳴りわたり、人間ドラマに涙する。実際には何もないのに、読む者にこういった疑似「体験」をさせる。それが素晴らしい小説のだいご味であり、本作にはその要素がぎっしり詰まっていた。
蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)
恩田陸
幻冬舎
2019-04-10



1位 「赤ちゃんをわが子として育てる方を求む」 石井光太
実在にあった人物をモチーフにした小説。我が子ではないこどもを実子として迎え入れる制度が、特別養子縁組である。この制度、一朝一夕でできたわけではない。
この主人公の医師、菊田昇さんの存在あってのものらしい。特筆すべきは、この方のこの行動力の原点が、母親が営んでいた花街であることである。つまり、売春宿だ。そこで見てきた遊女の苦しみ、そして、姉のように親しくしていた遊女二人の最期。
生ぬるい正義がまったく通用しない世界で生きてきた強さと哀しみが、色濃く出る前半部分が壮絶であった。ちょっと長いタイトルは、法律で養子が認められていない時代、実際に菊田医師が新聞広告にだした広告のコピーである。これがゆえに、社会的に糾弾されるのであるが、彼の行動、そして周りの人間たちが素晴らしい。
信念をもち、それを隠さず行動することで、善人がその明りを頼りに集ってくる。その人間の美しさみたいなのがまた感動を誘う。
ノンフィクション作家で有名な石井光太であるが、小説家としても図抜けていた。知らない人物を知れたという意味で、1位に輝いた次第である。



しかしながら、昨年は、育児書、今年は人物伝。
なんだか、若干堅いものが一位にくる私的傾向があるなぁ。個人的には、万城目学の「鴨川ホルモー」みたいなばかばかしいのも大好きである。

来年はもう少し読めるといいかな。