子どもに毛が生えている意味を質問され、適当に答えた。
よくある答えだ。大事なところを守るために毛があるのだとかなんとか。

まぁ、鼻毛なんかはその最たるもんだろう。菌の侵入を防ぐために鼻毛があるのだ。大気汚染がひどい所などに生まれれば、鼻毛はもっさり生えるのだろう。知らんけど。
股間に生えるやけに反発の強い毛もしかり。大事なところを守っているのである。

最近めっきり柔らかくなった俺の頭の毛髪。父親は、ばっちり禿げているので、このままいけば俺もその線を驀進するだろう。とはいえ、まぁ、いまさら異性を気にするでもなし、なくなってもかまわんよと思っている。

そんなときにふと気づいた。いや、毛って大事なところ守っているんじゃないの!?頭なんて人間の一番大事なところじゃないか。生涯にわたって守り続けなければいけない部位だろう。それなのになんで、めきめきとその部位を外部にさらしちゃうのか。

異性にもてるとかもてないとかの問題ではない。
体が、この部位(頭)はもうさして重要ではないですよ!と宣言しているようなものである。禿げると物悲しい気分になる理由がなんとなくわかった。この見放された感じたるや。

そう考えると、女性が禿げを嫌うのも頷ける。
自分の頭を見放すような生命力が弱った個体はやっぱり嫌なのではないだろうか、本能的に。かつらをかぶったり、増毛したりする人をよく小馬鹿にするが、あれはまっとうな行為である。頭を守っているのだから。

そう考えると、髪が生えるのにスキンヘッドにしている人は何?わからなくなるわぁ。
ましてや、禿げ隠しに黒いスプレーをするなんて阿保の極みではないだろうか…。見た目頭部を守っているただのカモフラージュという…。

いろいろ考えてしまうが、とにかく、しばらくはまだ禿げたくないので、母親からなぜかプレゼントされた「柑気楼」という育毛剤をせっせと頭に練りこむ今日この頃である。