引きこもりの苦悩というドキュメンタリー動画を見た。
数年前のものであるが心を揺さぶられた。


精神的な病や、引きこもりなどに自分は寛容である。当たり前だ。何を隠そう、かつて引きこもっていた経験があるからだ。
後から考えるとたった1年ではあった。
しかし、たった1年で精神的に病みまくり、結果病院に入院するという最悪の事態に陥った。

20代も終わりかけのころである。
まだ、若かった、今考えれば。でもその時はもう30手前なのに、この俺はなんだ…と絶望して友人関係もすべて断ってしまっていた。
数年付き合っていた彼女ともフェードアウト。理由は「恥」である。
こんなになっている自分を認められなかったのである。

引きこもりには、それぞれ理由がある。
いじめやパワハラ、はたまた失恋とか。
はっきり言って理由は千差万別。
なので、理由の軽重を考えてもしかたない。

俺の場合は、営業車で中学生をひいてしまったことが発端である。
スピードはあまり出ていなかったが、フロントガラスが蜘蛛の巣になるくらいの衝撃であった。
相手は打撲くらいで済んでよかったが、あとから考えると人身事故のショックが自分の精神に及ぼした影響は甚大だったのだろう。
その後すぐに会社を辞めてしまうという暴挙に出る。
すでに、鬱がちょっと始まっていたのだろうね。
よく、鬱のときに大きな決断をしてはいけないというが、まさにそれである。

そこから、引きこもりが始まった。
最初は嬉しかったのを覚えている。なんつっても会社に行かなくてもいいので、寝まくれる。
実家なので生活費の心配はない。
しかし、徐々に「えっ、俺なにやってんだろ?いい年して。」という感覚に陥り、週三回の資格学校に通いだす。

なんだか典型的である。
週三で通ってとれる資格で万事いい就職ができるわけがない。そんなことにすぐに気づき焦りだす。
そして、転職活動を始める。

ここでも、嫌な学びがあった。前職の退職理由を当然のように聞かれるのである。
事故を起こして、その後のプレッシャーが重くて、辞めました。28歳です。
正直にいえばコレであるが、そんなの通じるわけがない。
なんとかいろいろとこねくり回して、理由をいうのだがまったく通用しない。
行く先々で、相手にされず、徐々に病んでいった。

そのころには四六時中、後悔していた。
辞めなきゃよかったと。
その後、人材派遣会社に滑り込んだのだが、もはや精神的な病が本格的に発症。

アトピー性皮膚炎発症、給料はパチスロにつぎ込んだ。
それでも、まだ働いていたのでよかったが、それも続かず、無職になり朝から夜まで、携帯でテトリスをやっている生活になる。

もちろんこのあたりから希死念慮、すなわち死にたい願望がふつふつと湧きあがったわけである。
父親が異変を感じたころには、もう不眠状態。
なんとか、メンタルクリニックに行かされたのだが、それがまた良くなかった。
今考えれば、精神的な病というのは特別に弱い人がなるものと考えていたのだろう。
メンタルを病んでいる自分というのがどうにも認められず、処方された薬は飲まず、眠られず八方ふさがりの地獄である。

最終的に入院まで行くのだが、廃人のようになってしまったからである。

そこから、なんとか周りの助けもあり、立ち上がって生きている。
いろいろなことがあったが、今となればこの経験が自分の糧になっている。
弱者の視点などと偉そうなことを言えないが、いまだ40代でも引きこもり続けている人を見ると他人ごととは思えない。

この動画に出てくる顔出しで自分をさらけ出している人も、きっとなにかきっかけがあれば、外に出て違う人生を作り出し下手したら家庭をもって人生を生きていたかもしれない。
すごい、性格の良さが出ているし、きっと親にとってはかけがえのない可愛い息子であるはずだ。

40代以上の引きこもりが60万人以上いるといわれる今の日本。
なにかそういったものの助けになりたいと考える自分もいるが、いまは自分のことでいっぱいいっぱいで何もできないのである。
とにかくこういった経験をもって、子育てをしている自分というのが今は大きいのではないかと考えている。