辻村深月の「かがみの孤城」は、近年読んだ小説の中でもぴか一に素晴らしい小説であった。

かがみの孤城
辻村深月
ポプラ社
2017-06-02

ファンタジー色が強いのだが、不登校という深刻な問題もちりばめている。
その後、まだ息子が健在(不登校じゃないころ)のころアニメで映画化するということで、池袋に二人で見に行った。

当時は、小説からの映画化ということで、あまり自分には響かなかった。やはり端折る部分も多いからね。
息子にとっては、そこそこ楽しかったらしいが。
余談だが、この映画のエンディングテーマ曲の優里の「メリーゴーランド」はかなり名曲で最近になってハマっている。

それはおいといて、最近テレビでこの映画がやっていたので録画しておいた。
そして、先日家族で視聴した。
がっつりと不登校児になった息子には、なにかショックを与えてしまったりするかな?と思いつつも。

結果的に、とんでもなく感動した。俺が。やはり、不登校児をもつ親の視点に立ってしまったからかもしれない。
息子にも刺さる部分が多かった模様。
本当によくできたストーリーであった。
とくに城でルール違反を犯した子によって、オオカミが現れるシーンからの怒涛の展開。そして、しみじみとしたエンディング。
個人的には、傲慢と善良という小説が本当につまらなくて、辻村深月を敬遠していたが、やはりこの小説は素晴らしいと思い直した。

不登校児が身近にいる人もいない人も感動するに違いない。
トリックも素晴らしいのである。
とはいえ、これに感動したところで息子の不登校がなにか進展あるわけではなく、また後退していく現実。現実は大変である。