フィリピンのセブ島に留学していたことがある。
齢38歳である。
職場に一か月休職をお願いして、オンライン英会話の会社のセブ施設へ行った。
子どもが生まれる直前であった。もはや留学などはできないという切迫した思い。
実際、生まれたら無理だったね。身重の妻を残し、セブへ。
なかなかいい体験だったアレは。

一か月月曜から金曜までマンツーマンレッスン。
土日は遊べばいいのだが、妻を残しているという手前、ビーチにも行かず、スタディツアーという貧困地域を回る社会見学会のようなものにも参加した。
ストリートチルドレンがたくさんいて衝撃を受けたのも良い体験であった。
しかし、俺は真面目な性格である。今思えばビーチやカジノに行っても良かったかもなぁ。

それはいいとして、なかで出会ったたフィリピン人のおばちゃん講師に教会に連れていかれた。
クリスチャンではないが、知り合いが多いので教会はそこまで馴染みがなくもない。
そこで、英語の勉強だということでフランス人の神父とマンツーマンで話させられた。
なんかオーラがあって緊張したなぁ。
日本は無宗教だといわれるが、どうなんだと聞かれて、まぁそうやね。うちも仏教だが、教えは知らんというようなことを話した。
こういう話をするとき、日本人としてはなんともいたたまれない気分になる。
クリスマスやバレンタインには騒ぎ、お正月はお参りをする。おまけにハロウインでコスプレをし、先祖の墓にお参りする。
キリスト教、仏教、神道が混ざり合っていながら、無関心というミーハーっぷり。

そこで、神父がいったこと。
それは、日本が豊かな証拠だと。豊かな国に宗教はいらん と。
たしかに…。
宗教は救いであろう。最後のよりどころでもある。
日本は豊かだから…。なにか得心したのだ。

しかし、翻ってそこから12年ほどたった日本。なにやら暗雲がたちこめている。
子供らにも希望がみえない。高齢者は増える。戦争の匂いもする…。
よりどころは、精神科なのか…いやちがう。
やはり何らかの宗教のような信心があればもう少し楽になるのか。
新興宗教もうずまいている中で、なんとも難しい問題である。
個人的には、救われるのなら新興宗教でもいいじゃない!?という意見だが、
周りの人間は大変な思いもするしね。なかなか幸せって一筋縄ではいかない。